Sunday, April 22, 2007

銃社会アメリカ

皆様もご存知のバージニア・テックの銃乱射事件。これだけ銃規制の緩い国に住んでいる私たちもいつ事件に巻き込まれてもおかしくないので恐ろしいと思うのが自然だと思いますが、私はそれ以上に「またか」という失望とこれだけ数多くの銃関連事件が起きても銃規制をしないアメリカに対する憤りを感じます。ちょうどワシントンDCに初めて来た頃に起こった連続狙撃事件を思い出しました。

なぜアメリカは銃を手放せないのか。アメリカ憲法第2条では、「武器を所持する権利」を明確に保証しています。つまり、アメリカが独立戦争を勝ち抜いて晴れて新たな国家を成立させたときの、自由と民主主義を今後も守り続けるためには武装しても良いという決まりごとが、今も変わらず残っているのです(注:この条文の解釈は、民兵の武装に適用されるだけという説と、個人レベルにも適用されるという説に分かれている)。アメリカの銃社会を象徴する全米ライフル協会(NRA)は、この憲法第2条の「武器を所持する権利」は個人にも認められていると主張し、それを根拠に銃規制に反対しています。このNRAは銃愛好家の拠り所でもあり、政治的な発言力が強いのも事実です。(数年前に話題になったマイク・ムーアのドキュメンタリー映画「ボーリング・フォー・コロンバイ」はアメリカの銃社会/NRAの実態をクリティカルに描いています。)

市民が武器を所持する権利を認めるのは構いませんが、厳しい銃規制は絶対に行われるべきです。Tとも話していたのですが、アメリカでも日本やノルウェーのような銃を保持するための厳しい手続きや試験などを導入すべきです。今回の事件の容疑者は、犯行に使った2丁の銃のうち1丁をインターネットで、もう1丁を大学近くの銃器店で1時間足らずで購入したそうです。そんな簡単に銃が購入できるなんておかしいとしか思えません。銃撃事件は日本でも起こっているので完全にはなくならないのでしょうが、規制がとられれば犠牲者の数が減ることは間違いないと思います。

最後に。事件が起きてから1週間が経ちますが、毎日ニュースではバージニア・テックの事件が取り上げられていて、犠牲者や残された遺族のコメントを見ていると胸が痛くなります。30数名の命が一瞬にして奪われて1週間経っても騒ぎは収まりません。私はニュースを見ていて、今回の事件に動揺しているアメリカ社会が、イラクではアメリカによる攻撃と内戦によって30数名どころかもっとずっと多くの人命が失われているという事実にも同じくらい敏感になってほしいと思いました。

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