でも楽しいことばかりではありませんでした。一度、Mさんが子供が熱があるからと家に帰ってしまったとき、施設とは関係のない悪ガキ少年たち(多分15歳くらいの男の子たち)が荒らしにきて、施設の壁に落書きをはじめました。一人の女の子が私にそれを伝えにきたので、私は外まで注意しに行きました。5回くらい言ったらやっと聞いてくれたのですが、そうしたら今度は小さい男の子たちを連れて施設の裏にある立ち入り禁止の川へ行こうとしたんです。それも他の女の子たちも手伝ってくれて阻止できましたが、私をわざと困らせようとしていることがみえみえで、相当ばかにされていると感じてくやしくなりました。私に子育て経験があって貫禄があったらもっと上手な対応ができたかもしれないと思いました。それ以降はMさんかスペイン語学校の先生に常に一緒にいてもらうようにしました。
施設では、昼食だけが提供されます。それも、小汚いバケツに入った米と豆のみ。その施設には水が引かれていないので、いつも年上の男の子が近所から水をバケツに一杯だけもらってきて、それをコップに入れて子供たちで回し飲みしていました。
ある日、子供たちが外で遊んでいるので小さな子供二人をひざに抱えて彼らの遊びを見ていたときのことです。腕がかゆいなあと思ったら、赤アリが数匹私の腕を登っていたのに気付き、ぱっと払い落としました。どこからきたんだろうと思ったら、右ひざに乗っている男の子Mの髪の毛からだったんです。よく見ると、Mの頭には赤アリが数匹くっついています。さりげなく、Mにシャワーは毎日浴びるの?と聞いたら、「浴びないよ。ぼくのお姉ちゃんたちが先に水を使っちゃうからぼくは毎日は浴びることができない。」と答えました。Mには5人の大きなお姉ちゃんがいるそう。水がなくて今すぐ脱水症状に陥るといった危機感はありませんが、それでも体を清潔に保つことができないのは健康によくないと思いました。
ボランティア活動を通して学んだことはたくさんありますが、充分な水や食糧が足りていることは最低限の生活をするための条件だと改めて思いました。そして私に多くの学ぶ機会と喜びを与えてくれた子供たちに心から感謝しています。穴の開いた汚い洋服を3日続けて着てくる子がいたりシャワーを毎日浴びることができない子がいたり虐待を受けたせいか一言もしゃべってくれない子がいたりしました。私は、直接的でも間接的でもこうした子供たちが笑顔を絶やさずに生活できる環境を作ることに貢献したいと思っています。
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